第2章 なぜ「行動指針」が必要なのか

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1 法律だけが守るべきルールではない

 私たちは、社会の常識や市民の目を通して日々業務運営を正していかなければなりません。そのための最低限守るべきルールが法律です。
 ただし、法律はあくまで最低限守るべきルールであり、仮に法律に違反していなくても、「ウソをつく」「隠す」「不公正なことをする」などの行為については、社会の常識に反すると受け取られます。時には、法律違反以上に重大な不祥事として社会的批判を浴びることもあります。「法律に違反してさえいなければいい」、「法律違反でないから不祥事の程度は軽い」といった安易な考えでは、社会からの信頼は得られないことを肝に銘じなければなりません。

2 社会から信頼される、誠実・公正な事業運営を!

 当社が誠実・公正な事業運営の継続によって、社会から信頼を得るためには、私たち役員・従業員の一人ひとりが、日々自覚ある行動を積み重ねることが必要です。特に当社のような電力供給の一翼を担う企業には、より高い倫理観が求められます。もし、それに反する行動を行えば、以下のような事態にも発展しかねません。この「行動指針」は、私たち一人ひとりが社会の常識に背かない行動を、信念を持って選択するための拠りどころとして作成したものです。
 社会から信頼される会社であり続けるため、私たちが守るべき日々の行動の判断基準としてよく認識し、活用してください。

不祥事!⇒信用失墜、顧客の喪失、収益悪化

3 迷った時に考える視点と一般的な行動基準

自分の行動に迷った時に考える「視点」(判断基準)

 皆さん自分の行動に迷ったとき、どうしますか?そのようなときは、以下の二つの「視点」で、「はい」と答えられるかどうか、自問自答してみてください。二つとは、「社会人としての視点」、「役員・従業員としての視点」の二つです。「自問自答」の結果、明快に「はい」といえないようなときや迷うとき(社会常識と組織の論理が反する場合等)は、上長や同僚と相談してみてください。
 なお、上長や上位機関等からの指示や依頼であっても、法令や倫理に反するのではないかと思った場合には、安易に従うのではなく、社会常識に照らして判断することが必要です。場合によっては、他部門やコンプライアンス担当部門への相談も必要です。

社会人としての視点

  • その判断や行動は、自分の良心に反しませんか?
  • その判断や行動は、自分の家族や友人に胸をはって見せられますか?
  • その判断や行動は、善良な市民の行動といえますか?

役員・従業員としての視点

  • その判断や行動は、当社の企業理念や企業行動憲章に沿っていますか?
  • その判断や行動は、社外の人や団体との信頼関係を損ないませんか?
  • その判断や行動は、法令に違反する恐れはありませんか?

一般的に必要と思われる行動基準

 次の四つの行動基準に基づいて行動すれば、世間の常識や法令を大きく踏み外すことはないと考えられます。

基本的人権の尊重

 事業活動や対人関係に関する行動基準の基本は、従業員がそれぞれの個性、人格、性別、年齢、信条、身体的条件といった多様性を尊重し、あらゆる人の生命、人格を自分のそれと同等に尊重する姿勢を持つことです。

  • 差別の禁止
  • 互いに人として敬意を払い、相手の立場になって考え、行動する。
  • 性別、信条、身体的条件、社会的身分などによる差別やハラスメント(いやがらせ)を決して行わない。

法令及び企業倫理の順守

 事業活動全般において、民法、会社法、刑法、電気事業法などの諸法令を遵守し、業務を公正・誠実に実施することが必要です。

  • 国内外の法令及びその精神を遵守し、社会のルールに反する行為を行わない。
  • 電気事業法をはじめとする関係法令を遵守し、届出及び報告書等の手続を適時・的確に実施し、電気事業者としての使命・責任を果たす。
  • 会計処理及び税に関する法令に基づき、適正な事業活動を行う。
  • お客さま・株主、取引先、地域社会などと取り交わした契約や約束を必ず守る。
  • 規程等の社内ルールを遵守し、厳正かつ的確に業務を処理する。

環境保全と安全性の確保

 事業活動では、地球環境問題への積極的な取り組みや、電気を確実にお届けすることにより、お客さま・株主に貢献するとともに、何よりも安全性を確保することが必要です。

  • 安全に関する規制・法令等を遵守し、設備などにおいて、安全確保対策を確実に実施し、異常や危険の兆候が発見された場合には、最良の安全措置をとる。万一、事故や災害が発生した場合には、迅速な救護と復旧に努める。
  • 環境保全に関する規制法令を遵守し、資源の有効活用や省エネルギーに努める。また、事業活動に伴って発生する廃棄物の抑制と再資源化を図る。

情報公開の一層の推進

 公正な事業活動に徹し、開かれた経営を目指して、お客さま・株主の立場に立った情報公開を行う必要があります。

社会の情勢変化への的確な対応

 社会の情勢変化次第では、企業活動に求められる誠実さや公正さの判断基準がより厳しいものとなる場合も考えられます。常に社会情勢の変化に対する高い感度をもって、自らの行動を考える必要があります。

「コンプライアンス」って何?

 「コンプライアンス」という言葉は、英語のComplianceという言葉からきています。この言葉は、「comply with~」という形で使われ、「~を遵守する(守る)」という意味です。
 ~は普通、法律や約束事など、何らかのルールを意味する言葉が入ります。 つまり、「法律に従う」とか「約束を守る」とか、社会の中で普通の人であれば守ることがあたりまえと思われているようなルールに従うという意味で使われている言葉です。このようなルールにも従わないのであれば、社会一般の人々から強い批判・反発を受けることになります。
 当社が、「大分共同火力企業行動憲章」の中にコンプライアンス経営の推進を挙げているのは、当社を取り巻くあらゆる人々から批判されるようなことをしてはならないと考えているからです。
 コンプライアンスにおいて重要なのは、法律や規則があるからそれを守るということではなく、社会に損失を与える行為や迷惑をかける行為を行わないことであり、さらには、社会から私たちが行動するよう期待されていることに応えることです。
 したがって、私たち役員・従業員の一人ひとりは、何をすべきで、何をすべきでないのか、日々考えながら行動する必要があります。